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■ Facoat RALLY MONGOLIA 2014 参戦記 |
最終更新日:2014/12/5 |
Etap6 壮絶な戦い

今日のスタートはマラソンステージの続きでスタート10分前まで車に触る事ができない。10分前私と菅原会長は車へ向かいあらかじめ決めていた簡単な整備を手際良く行い、スタートの隊列に並びスタートを迎えた。
スタートして数十キロは昨日のコースを逆走して戻っていくコースであった。道を進んでいると前方に私たちより先に行ったはずの同じジムニークラスの堂脇氏・堀井氏の車を発見、どうやらクラックを見つけ止まっていたようだ。私たちの走っているオンコースではない左から来たという事は、コマ図を落としてCP1手前のGPSポイントを目指して走行をしていたのではとこの時思った。そして我々はCP1を無事に通過しRCPに到着した。
RCPにはライバルの尾上氏も到着しておりどの位時間差をつけられたのかが気になった。そして私たちの後に到着した堂脇氏・堀井氏を含めジムニークラス3台のメンバーで話合う事になった。どうやら尾上氏・森光氏はコースを間違えペナルティ覚悟の上CP1をとばし真っ直ぐRCPを目指す決断をしここまで来たようで、一方の堂脇氏・堀井氏はCP1を目指してGPSポイント走行をしたので途中私たちと合流したとの事、やはり道はかなり危険だったと言っていた。この尾上氏・森光氏の作戦が吉とでるのか、はたまた堂脇氏・堀井氏の作戦が吉となるかは実際にやってみないと分からない賭けでもある。
CP1不通過で与えられるペナルティは30分、ラリーの総合タイムに追加される事になり私たちと尾上氏の時間差が一気に30分縮んだ事を意味する。しかし私たちの中での勝負は「その日のビバークにどちらが先にゴールをするか」というルールを菅原会長と尾上氏が決めている。そして後半戦のスタートを迎える、この後半戦でこのレース最大の大勝負をすることになるとはまだ私は知る由もなかった。
後半戦がスタートし村抜けで手こずるなどの小さなミスはあったものの、ライバルの尾上氏の車を前半で引き離し少し余裕をもって走行していた。しかしビバークまで10キロと迫ったとき後ろから見覚えのある赤い車が近づいてきた。「きた!!」という言葉がとっさに口に出てしまった。赤い車はどんどん近づいてきてすぐ後ろに、そして私たちを抜き去った。ここまできて負けるわけにはいかない、そんな気迫を菅原会長から感じ取った。そこから二台のデットヒートが始まった。ビバークまで残すところ5キロに迫るまで私たちは赤い車の後ろにぴったりと付けていた。車も人間ももう限界に近い状態だ、抜くタイミングを今かと見計らう、そしてやってきた右に90度曲がるコーナー! 我々の車はインを狙って飛び込みコーナー立ち上がりで2台が同時に並んだ! 車両間のミラーの距離はおよそ10センチ! そしてビバークへ飛び込んでいく2台。 勝負は………
我々が勝った。寸前で抜くことに成功しそのまま逃げ切った、ビバークに着き車を降りるまで菅原会長には笑顔はなく終始無言であった。車を降りてやっと会話をしたのを今でも覚えている、その時の会話は勝った事に対する喜びよりも私に対するアドバイスの方がはるかに多かった。
そしてライバルの尾上氏のもとに行くもまだ勝負の興奮もあってか、ただならぬオーラを感じたのを今でも鮮明に覚えている。その後の話で尾上氏は途中で転がっていた車を起こしてから追いついて来たという。その話を聞いて尾上氏はとんでもない相手だと改めて痛感した。そしてレースは運命の「NO GPS DAY」(GPSポイント無しの日)を迎えることになる。
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