あとは、ウランバートルにあるゴールを目指すのみ。朝からビバーク全体にいつもと違う雰囲気が流れていた。
今日は最終日ということでエントラントとオフィシャル車両による一斉スタート。9:00、SSERの山田代表がスタートの旗を降り下ろすと同時に全車が動き出した。見渡す限り平坦な大地をみんな猛スピードで駆けていく。そのなかをカミオンも全速力で駆けていく。二輪や四輪を次々と抜かしながら、とにかく気持ちよく全速力で走っていく。ふと前方をみると、#100と#101が全速力でならんで走っている。#100は四輪のなかで一番先頭のはず、それが見えると言うことはこのカミオンは三番手?しばらくの間、彼等の後をついて走っていった。今まで見ることができなかった走行中の四輪の先頭を見ることができ、またそれについて走ることができたことで、自重20t、夜遅くビバークに着くといった悪いイメージは全て払拭され改めてこの車の性能のすごさを感じた。

34km地点に危険な切り立った下り坂があるため、後続のエントラントに注意を促すため停車をする。そして、全エントラント通過後、いつもどおりの任務につく。
113km地点、#22をコース上で発見。サスペンションが壊れてしまったため走行不能でリタイアするとのこと。エントラントと車両をカミオンに収容する(10:51)。
139km地点、今度はファンベルトが切れて動けなくなったオフィシャルカーを発見(11:54)。この車を次のCPまでけん引して行くことになる。実はこの車、いつも見慣れている白色をした日本の救急車。今までビバークで見かけたときは何も感じなかったが、この大平原のなかに一台だけポツンとあるととても違和感を感じる。そして、CP到着(130km地点、13:15)。先行していた他のオフィシャルがこの救急車用の予備のファンベルトを置いていったので修理は彼等に任せて、カミオンは先へと進んだ。
204km地点、今度は日本の赤色の消防車を発見(14:05)、これもオフィシャルカーである。フレームが折れてしまい走行不能となったため、近くの町までフレームを溶接する人を探しにいっているとのこと。最後の最後になって、みんなガタがきているようだ。その後は、コマ図どおりに目標物があり、順調にコースを進む。
しかし、270km地点ぐらいから、連続して目標物がでてこなくなった。まさか、またミスコース。。。といっても、辺りを見回してもそれらしい道は無い、GPSは進行方向をさしている。しかたなくしばらく道を進むと、その2つ先のコマ図と全く同じ形の目標物があり、ひとまず安心。目標物が無くなっていることもよくあるみたいだ。
16:38、293km地点のRCPを通過。その後も順調に走行を続ける。320km地点ぐらいから、今まで茶色一色だった大地が緑色となり景色が一変した
山沿いの草原を進む。そして、峠を超え、大きな河沿いをしばらくの間走る。途中、いかにもモンゴルらしい景色にであう。
413km地点、SSゴール手前の橋に到着(19:05)。最後はこの橋をわたってSSのゴールとなるのだが、橋が壊れていて、どうやってもカミオンは渡れそうにない、また、河を渡ろうとしても流れが急で深さもだいぶありそうだ。よって、ここをカミオンのSSゴールとし、ゴール到着を祝いインスタントラーメンを食べることにした。同乗していた#22のエントラントから「カミオンって結構激しく走るんですね」などと感心されながら荷台で紅茶をすすり休憩した後、最後の目的地であるチンギスハーンホテルへと再び走り出した。
街の明かりが近付いてくる、舗装道路になる、街灯がついている、コンクリートの建物が見える、車がたくさん走っている。いままで日が落ちれば漆黒の闇となる大地を走ってきたせいか、夜というのに空が明るく見え、マンションの窓に一つ一つ明かりがついているのを見るだけで、「あそこに人がいるんだ」と感動さえしてしまいそうになる。ひさしぶりに人の気配というものを感じた。
そして、チンギスハーンホテル到着(23:15)。ホテルのロビーに入るとラリーが終わりリラックスをした表情のオフィシャル達が出迎えてくれ、本当にゴールに着いたのだという実感が込み上げてきた。
[エピローグ] このラリーを通して一番に感じたことは、ナビゲーションがどうのこうのというよりは、まずは自分自身をいかにコントロールするのかと苦労をしたことです。まだラリー全体の流れを把握しきれていないため、周囲の人たち自身の流れにのせられてし
まったりして自分自身の時間をつくれなかったことが、一番の原因だったと思います。
また、ナビゲーションに関しては、いままで自分が考えていたように全てがすすまず、次の目標物が出てくることを祈りながら、コマ図を読むというよりは読まされていたような感じがします。数え上げたらキリがないほどの様々な失敗、例えば町中でのミスコースなどを繰り返してきましたが、これらの失敗を取りかえすべく今後もこのような機会があれば、このラリーレイド・モンゴルを含め様々なイベントに積極的に参加していきたいと思います。